埋立ガスは、埋立地で有機物が分解される際に発生する自然の副産物です。埋立ガスは、天然ガスの主成分であるメタン約50%、二酸化炭素(CO2)約50%、少量の非メタン有機化合物で構成されています。メタンガスは強力な温室効果ガスで、CO2の28〜36倍もの熱を100年の間に大気中に閉じ込めるとされています。
ここで言う埋立ガスの活用は廃棄物から発生するメタンなどのガスを集めて処理、エネルギー源とし、電気や熱、燃料、他化学物質を生産する事です。埋立ガスは化石燃料や農業に次いで人間が生み出している最大のメタンガス排出源の一つです。メタンガスはCO2と比較して25倍もの温室効果があると言われており、温室効果ガスの排出を抑制するだけでなくこれを代替エネルギーとして活用する事は非常に重要な事です。
本事業において埋立ガスは、空気中に放出せず回収して代替エネルギー資源として利用します。埋立ガスを使用することで埋立ガスの排出に伴う臭気やその他の危険を低減するだけでなく、メタンが大気中に移行して起こすスモッグや地球の気候変動を防ぎます。
本プロジェクトでは既存埋立場と新規管理型埋立場から抽出された埋立ガスを活用します。2つの発電・熱供給ユニットでそれぞれ1,6MWの電力と合計2,9MWthの熱を供給します。
埋立ガス回収システムの概要は以下の通りです。
- 新規管理型埋立場:埋立場のガス井は、一次、二次、三次ネットワークを介して廃棄物処理発電エリアに接続されます。一次ネットワークは埋立場を取り囲む形で敷設され、二次、三次ネットワークは、溜まったバイオガスを井戸に導くために、「魚の骨」のような形で敷設されます。
- 埋立ガスのネットワークの目詰まりを防ぐために、一次ネットワークの最下部にコンデンセートトラップを設置します。
- 既存埋立場:ガス井、二次・三次ネットワークが埋立場カバーの下に敷設されます。
- 埋立場のガス井は廃棄物処理発電エリアに接続されます。
埋立ガス回収ネットワークは、既存埋立場の表面に設置されます。埋立ガスは水分を含んでいるためパイプ内で凝縮物が発生します。よってガス回収ネットワークは適切な傾斜をつけて敷設され、コンデンセートトラップにて凝縮物が排出されるようになっています。
埋立ガス回収ネットワークは以下のように構成されています。
- 埋立ガスを回収するための抽出井(そのうち10~15%は浸出水も回収できるように設計されている)
- 井戸から浸出液を取り出すためのポンプ
- 埋立ガスを運ぶパイプネットワーク
- 埋立ガスネットワーク上のコンデンセートトラップ
この施設は、電力と熱の両方を供給、廃棄物埋立場からのガスの排出を削減・防止します。